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2023/08/08
食品業界の品質管理が行う業務とは?向いている人・向いていない人の特徴や就職する方法食品は顧客が口に入れるものなので、取扱業者は安全なものを製造・販売しなければいけません。食品の安全を守るために、品質を管理しているのが品質管理という職種です。
そこでこの記事では、食品業界の品質管理が行なっている業務について詳しく解説します。品質管理への向き不向きや、就職する方法についても紹介するので、品質管理になりたい人はぜひ参考にしてください。
そもそも食品業界の品質管理はどんな職種なのか、概要を解説します。具体的に仕事内容をイメージするためにも、品質管理の特徴を確認しましょう。
品質管理は、トラブルの予防や改善を行う職種です。主に工場内で、ミスの発生を防いで製造できる仕組みを整えます。食品業界では、小さなミスでも大きな問題に発展しやすいです。そのため品質管理は常に気を抜かず、トラブルを予防しなければならない責任があります。
似ている業種に品質保証がありますが、担当する工程が異なります。品質保証は製品が完成してからの品質を管理・改善しますが、品質管理は開発から製品が完成するまでの品質を統制します。
食品業界の品質管理は、特に知識が求められます。たとえば、以下のような知識やスキルが必要です。
・食品衛生法・食品表示法といった法律に関する知識
・原材料・安全衛生といった食品に関する知識
・検査時に活用できる統計学の知識
・トラブルを想定して対策するためリスクマネジメントスキル
・問題に気づける観察力
・コミュニケーション能力
情報は常に更新され続けるため、知識をアップデートできる向上心があると重宝されます。
品質管理の仕事は、基本的にルーティンワークです。製品の安全性や、工場内の衛生状況をチェックするといった業務をコツコツと続けます。そのため地道な作業に取り組むのが苦手な人は、あまり向いていません。
とはいえ生ものの食品を扱う食品業界では、季節によって食品に生じる細菌や劣化スピードが変わります。食品の状況は毎日異なるため、ルーティンワークといっても行うべき業務は日々変化するといえるでしょう。
実は品質管理の業務中は、数字やデータの取り扱いが多くあります。品質を一定にするのは難しく、どうしてもばらつきが出てしまうのが製造現場。ばらつきを最小限に抑えるためには、真実を数字で正確に把握することが重要です。
そのため、生産数や検査データといった数字を集計・管理・計算する必要があります。数字自体に抵抗感があったり、統計に苦手意識があったりすると、生産管理の業務はキツく感じるかもしれません。
食品業界の品質管理が具体的にどのような業務を行っているか、詳しく解説します。
食品業界の品質管理は、自社工場で製造・試作した製品に対して、細菌検査や理化学検査を行います。食中毒を引き起こす微生物や細菌がどれだけ含まれているかなど、衛生状況を確認するために行うのが細菌検査。食品衛生法にもとづいて、添加物やアレルギー、放射能などが含まれていないか分析するのが理化学検査です。
また嗅覚や触覚といった人間の五感を使って、味や香りをチェックする官能検査も行います。さまざまな検査から食品を分析し、安全性を評価するのが品質管理の業務です。
製品の規格書や一括表示を作成・提出することも、品質管理の業務です。企業によっては、品質保証が担当することもあるので覚えておきましょう。
規格書とは、製品の重量や包装容器に入れた数、配合されている原材料の詳しい内容や含まれるアレルギー物質についてまとめた書類で、製品販売時に作成・提出が求められます。一括表示とは食品ラベルとも呼ばれており、名前や原材料名、内容量や賞味期限・消費期限、保存方法、製造者の名称や住所を記載しなければならない書類です。
品質管理には、製品を製造する工場内の衛生状況を確認し、指導する業務もあります。製品を製造する過程で、工場の環境が原因で細菌の発生・繁殖が起こることも予想されるため、衛生管理が必要です。
具体的には、製造機械・道具・作業台・作業員の手を拭き取り、検査で確認します。普段は衛生に問題ないところから細菌などが発生した場合は、問題があった工程を調べて現場作業員に指導を行います。
従業員へ衛生知識を指導・教育する業務も、品質管理が行います。現場で働く従業員に衛生知識がなければ、衛生環境は悪化してしまうでしょう。そのため品ひつ管理は、作業服や帽子の適切な着用方法・正しい手の洗い方・道具や器具の洗浄方法や取り扱い方・清掃方法などについて、従業員に詳しく教えます。
また衛生に関するルールを作成したり、従業員向けに食品衛生の講習会を開いたりすることもあるでしょう。
工場内で改善すべき点があれば、マニュアルやルールを作ることも品質管理の業務に含まれます。衛生管理や製造に関するマニュアルやルールがあれば、異動・退職によるメンバーの入れ替わりがあったときでも、品質を落とさずに製造できます。誰でも業務を進められるように、わかりやすく手順・注意事項についてまとめることが大切です。
マニュアルやルールがあると、業務を見える化できるのも大きなポイント。業務をひと目で把握できるようにすると、適切に業務の内容・量がわかるため、負担を標準化できます。
顧客からクレームが入ったとき、品質管理は原因を調査して第三者機関に提出します。たとえば食品業界では、食品が規定量より少なかった、異物が混入していた、食中毒症状が出たといったクレームがあります。この場合、いつ・どこで・なぜ、トラブルが発生したかを調査して、今後の対策を考えることが必要です。
企業によっては、品質管理がクレームの原因究明・品質保証が報告書の作成や報告を行うといった形で、業務を分けることもあります。
食品業界で品質管理が重要視されている理由について、詳しく解説します。
食品は顧客が口に入れるものなので、食べても安全な製品を作らなければなりません。顧客は味・価格だけでなく、安全な食品を求めています。もし異物や食中毒によるトラブルが起きてしまったとき、顧客の健康や生命に関わります。食品業界では顧客の安全を守るために、徹底的に品質を管理して製品を作らなければなりません。
また顧客は、おいしくて適切な価格でなければ不満を感じます。そのため品質管理を徹底したうえで、おいしいと満足してもらうことが重要です。
食品業界で品質管理を怠ってしまい、異物混入や食中毒といったトラブルが発生すると、企業の信用を損なう可能性があります。失った信頼を取り戻すのは難しいため、1つのミスで企業の存続が危ぶまれてしまうこともあるでしょう。
食品業界で企業を運営する際は、安全や品質に関して顧客から信用されていることが条件です。企業の明るい未来を実現するためにも、品質管理は重要視されています。
食品業界の品質管理は、顧客から感謝されることでやりがいを感じる人が多くいます。縁の下の力持ちのような存在の品質管理は、大きな成果が見えづらいからこそ、顧客の声がモチベーションにつながりやすいです。
また品質管理は現場の従業員とコミュニケーションをとりながら業務を進めるため、チームで1つのものを作ります。チームが協力してよい商品を作り上げたときに、喜びを分かち合えることにやりがいを感じる人も少なくありません。
食品業界の品質管理には、向き不向きがあります。食品業界の品質管理に向いている人の特徴を解説するので、自分が当てはまっているか確認しましょう。
食品業界の品質管理は、数字やデータを使ったルーティンワークが主な業務です。そのため真面目で、地味な作業をコツコツできる人に向いています。飽き性の人は、同じ作業を続けることにストレスを感じてしまうかもしれません。
またトラブルを事前に予防する必要があるため、細かい違和感を見過ごさずに気づける人や詳細な部分に集中できる人は重宝されるでしょう。
品質管理は工場や各部署と協力し合う必要があるので、コミュニケーション能力がある人に向いています。たとえばミスが発生したときに対象の従業員から聞き取りしたり、現場と部署の間に立って調整したりするケースは少なくありません。コミュニケーション能力がなければ、聞き取りや調整時に従業員を不快にさせてしまう可能性があります。
意外と人と関わることが多い品質管理は、他者とコミュニケーションをとるのが好きな人におすめです。
性格や考え方によっては、食品業界の品質管理に向いていません。あまり向いていない人の特徴を紹介するので、品質管理を目指している人は参考にしてください。
品質管理は、派手な仕事をして周囲に認められたい人には向いていません。基本的に品質管理はルーティンワークであり、裏方のような業務を担います。食品業界は安全なことが当たり前なので、異物混入や食中毒を出さなくても褒められません。チームで協力して業務を進めるため、自分が主役になるタイミングもないでしょう。
そのため社会にプラスな影響を与えたり、クリエイティブな発想で業務を進めたりしたい人は、商品開発や技術開発といった職種がおすすめですす。
体力や忍耐力がない人は、品質管理の業務に向いていません。地道な作業が多い品質管理の業務は、忍耐力がなければ続けられません。
また品質管理は数字やデータに関わるイメージからデスクワークしかやらないイメージを持つ人もいますが、ときには立ちっぱなしの1日や、走り回るような1日もあります。特に中小企業や零細企業の場合、エアコンがついていない過酷な工場で働くこともあるでしょう。品質管理として長期的に働き続けるなら、体力や忍耐力がある人の方が向いています。
食品業界の品質管理になる方法について、詳しく解説します。有利に採用されるコツも紹介するので、食品業界の品質管理になりたい人は覚えておきましょう。
食品業界の品質管理は、基本的に未経験からでもチャレンジできる職種です。知識やスキルが必要なので、経験者でなければ採用難易度が高いイメージですが、実は未経験可能な求人が多くあります。総合職・技術職・生産職といった区分で、求人を募集しているケースが一般的です。まずは、食品メーカーなど食品を製造している企業に就職する必要があります。
ただし、企業によっては大学の専攻・資格取得を必須にしている場合があるので、注意しましょう。
食品業界の品質管理になるための必須スキルはありませんが、有利になる資格を保有していると採用されやすいです。食品業界の品質管理として採用が有利になる資格は、食品衛生管理者・食品表示管理士検定・管理栄養士・品質管理検定(QC検定)の4種類が挙げられます。
特に食品表示管理士検定は受験資格がなく、初級・中級であれば合格率50〜60%前後なので、1度受けてみてもよいでしょう。品質管理検定(QC検定)は品質管理の知識が身につくため、採用されやすくなる傾向です。
農学部・理学部・栄養学部は、食品業界の品質管理に採用されやすいといわれています。農学部では食品や微生物について学び研究した経験から、食品分析に関する知識を保有している人が多いため、実務経験がなくても採用されやすい傾向です。理学部は生物について学んだり微生物検査をした経験があると、未経験でも採用に有利になります。
また栄養学部は、食品や栄養について学ぶため、食品業界では需要が高いです。特に4年生大学を卒業していると栄養士資格も取得しているので、食品に関する知識の豊富さから採用されやすくなります。
資格や経験がない未経験者でも、前職までの経験やスキルを面接でうまくアピールできれば食品業界の品質管理として採用されます。
たとえば食品業界の品質管理では、地道にコツコツと作業できる人やコミュニケーション能力がある人が求められています。そこで地道な作業をコツコツ続けた・確認作業に力を入れたという前職の経験を話したり、営業職で顧客と話すことが好きだったことを伝えたりしてアピールすると、品質管理向きの性格と評価してもらえる可能性が高くなります。
食品業界の品質管理は、食品の検査や分析・衛生管理・クレーム対応といった業務に取り組み、トラブルの予防や改善を行う業種です。知識やスキルが必要なルーティンワークのため、真面目で地道に作業を続けられる人に向いています。また現場や他部署と連携する必要があるので、コミュニケーション能力も必要です。
食品業界の品質管理になる場合、食品製造業へ入社する必要があります。未経験でも品質管理になれますが、スキルや資格を持っていると有利です。食品業界の品質管理になりたい人は、本記事を参考に就職・転職を検討してください。
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